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格子は脱走防止兼飛び降り防止用らしい。
談話室で煙草を吸ってるおじさんが言っていた。
おじさんはヤニで黄色くなった歯を見せて笑う。
「自殺しようと思ったら、舌を噛み切ってでもどうやってでもできるのにな」
おじさんの入れ歯でも舌を噛み切ることはできるのだろうか?
おじさんの言葉に適当に頷いているとお昼ご飯の時間になった。
白い制服を着た人達が渡してくれるのをトレイに受け取り、食堂の自分の席につく。
「いただきます」
今日の献立はご飯と焼き魚とお味噌汁とお漬け物。
老人達に合わせてご飯が柔らかいのがいやになる。
お味噌汁にぴちょん、ご飯にぴちゃ、お漬け物にぴしゃ、焼き魚にぴちゃり、雨は降ってくる。
私はそれだけで食欲が無くなって、全部ゴミ箱に捨ててしまった。
代わりにエンシュアをもらう。
経口栄養剤と書かれた缶ジュースみたいなの。
はっきり言ってマズいけど、雨は入らない。
何も食べないとここから出るのが遅れるらしい、っていうのはおじさんからの話。
出られなくても困らないけど、早く出なきゃいけない気もする。
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