病まない雨

長雨

食後の薬は飲むふりをして後でトイレに流した。

あれを飲むと頭がぼーっとする。

大好きな小説も読めなくなってしまう。

切ない小説も怖い小説も楽しい小説も馬鹿らしい小説も悲しい小説もドキドキする小説も。

小説の中には世界がある。

私はその中に潜って人生をやり直している。

小説を読んでいると呼び出しがかかり、先生との面談になった。

面談室では１対１で、最近薬をちゃんと飲んでいるか、とか薬の効き目はどうか、とか最近急に悲しくなったりなどの気分の上下は無いか、とか下着の色は何色か、とかまだ雨は降っているか、とか質問をされた。

私は聞いているのかいないのかわからない感じで聞き、わかっているのかいないのかわからない様子で答えた。

この男はロリコンというやつだろう。

レインコートのはだけた私の薄い胸元や顔を見てニヤニヤしている。