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『オイ…
アレハ人間ジャナイカ?』
「!!!」
ビクッと少女の体が跳ねた時、木の影からひょこっと影が現れた。
その影は木の後ろに隠れたり出たり…。
『イヤ違ウヨ
人間ハコノ山ニ近付カナイハズダモノ』
まるで2人同時に同じ言葉を喋っているように、何者かは喋っていた。
見事に男女で声が別れていて、綺麗にはもっている。
「だ…だれ?!」
『ワワワッ!
アレ喋ッタヨ!
ヤッパリ人間ダヨ!!』
『ソウダネ
人間ダネ
久シブリノ食ベ物ダヨ!!』
「っ―!!」
木の影に隠れていた何者かは、少女が人間だとわかった途端、勢いよく飛び出してきた。
その姿を見た途端、少女は目を見開いた。
体は人間の数倍大きく、爪や歯も獣のように鋭い。
体は真っ赤で、額には2本の角。
そして右手には血の付着した金棒が握られていた。
(しかも虎柄の褌って!
正に鬼じゃない!)
そう、少女の前に現れたのは、腹を空かした2匹の鬼。
口からは透明な涎がどろどろと溢れ、瞳はもう既に手遅れとも言うように白目をむいていた。
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