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部屋に着いてみれば、影雅は布団を頭までかけて寝息をたてている。
これから死ぬのによく平然と寝ていられるものだな。
影雅が起きない事を確認した私は、神々の泉から部屋まで、眼を通して移動した。
先程もこうしていれば、アイツを殺す事が出来たが、よくよく考えたら、あの場には十六夜と三日月がいた。
私では適わない。
だが上から見たかぎりでは、この部屋から十六夜達がいる部屋までは結構な距離がある。
しばらくはこないであろう。
音をたてずに影雅の元に近づく。
だが今の私は何時もの服装ではなく、普通の人間がよく着る着物を着ているため、動きずらい。
もしここで影雅と戦闘になれば、不利はこちらだろう。
女だろうと関係ない、直ぐに私は殺されるだろう。
まぁしくじらなければいい話だ。
(さぁ…
私の手でその首を落とされろ…!)
私は勢いよく影雅が被っていた布団を取り、右手に持っていた刀を振り下ろした。
ザクッ!!
だが私はおろした瞬間、目を見開いた。
そこにいると思っていた者はいず、ただ私の刀は虚しく布団に刺さっていた。
「ど…どうして…!」
「君さ…
気配を完璧に消したつもりだったの?」
気が付けば、殺そうと思っていた影雅の声は、私の後ろから聞こえた。
背中に殺気を感じる。
しかもそれは尋常じゃない程のもので、しまいには汗は頬を伝う。
「……ふっ…
上等な殺気じゃない…、人食い妖狐さん」
「何それ
僕そんなの知らないけど?」
知らないふりでもするつもり?
確か影雅は、過去の記憶を自らの手で捨てたとかゆう話を聞いた事がある。
そんな事が本当にできるのだろうか。
できるなら私にも教えてほしいものだ。
「君だね
あの子をずっと見ていたってのは…
目的はやっぱりあの子の命かな?
それとも力かな?」
「わかっているのに問いただすなんて、酷いのね
そんなに私の口から言ってほしいのかしら…」
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