其の参 神妙なる眼界物語

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部屋に着いてみれば、影雅は布団を頭までかけて寝息をたてている。 これから死ぬのによく平然と寝ていられるものだな。 影雅が起きない事を確認した私は、神々の泉から部屋まで、眼を通して移動した。 先程もこうしていれば、アイツを殺す事が出来たが、よくよく考えたら、あの場には十六夜と三日月がいた。 私では適わない。 だが上から見たかぎりでは、この部屋から十六夜達がいる部屋までは結構な距離がある。 しばらくはこないであろう。 音をたてずに影雅の元に近づく。 だが今の私は何時もの服装ではなく、普通の人間がよく着る着物を着ているため、動きずらい。 もしここで影雅と戦闘になれば、不利はこちらだろう。 女だろうと関係ない、直ぐに私は殺されるだろう。 まぁしくじらなければいい話だ。 (さぁ… 私の手でその首を落とされろ…!) 私は勢いよく影雅が被っていた布団を取り、右手に持っていた刀を振り下ろした。 ザクッ!! だが私はおろした瞬間、目を見開いた。 そこにいると思っていた者はいず、ただ私の刀は虚しく布団に刺さっていた。 「ど…どうして…!」 「君さ… 気配を完璧に消したつもりだったの?」 気が付けば、殺そうと思っていた影雅の声は、私の後ろから聞こえた。 背中に殺気を感じる。 しかもそれは尋常じゃない程のもので、しまいには汗は頬を伝う。 「……ふっ… 上等な殺気じゃない…、人食い妖狐さん」 「何それ 僕そんなの知らないけど?」 知らないふりでもするつもり? 確か影雅は、過去の記憶を自らの手で捨てたとかゆう話を聞いた事がある。 そんな事が本当にできるのだろうか。 できるなら私にも教えてほしいものだ。 「君だね あの子をずっと見ていたってのは… 目的はやっぱりあの子の命かな? それとも力かな?」 「わかっているのに問いただすなんて、酷いのね そんなに私の口から言ってほしいのかしら…」
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