其の参 神妙なる眼界物語

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「まん…げつ…?」 まさかその名前が出てくるとは思わなかった。 それに今こいつは、私がこの世で一番嫌いな奴の名前をはき、私を怒らせた。 もう知るか。 十六夜でも何でもくればいい。 「やはり貴様はここで葬る!!」 「そっ… なら結界を張ってあげる 誰もここに来れないように…」 私の能力の一つである言霊は、そんなに長い時間は使えない。 だから先程の刀はもう既に消えてしまっているのだ。 使った後、そんな直ぐには能力を使えない。 まぁこんな小太刀でもこいつは殺せるか。 帯から出した小太刀を鞘から抜き、その手をだらりと下げた。 これが失力の構え…。 私が初めて自分で考えた構えだ。 「それ… 失力の構えってやつだよね 確かあの子が最初に覚えた構えだったね…」 「あの子…」 そんな馬鹿な事はない…。 これは私が考えた構えだ。 力を自ら失わせ、もぬけの殻となった自分が前に倒れた瞬間に全ての力を戻し、速さと力を最大限に引き上げ、強い斬激を繰り出す…。 私以外が知っているはずがない…。
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