其の参 神妙なる眼界物語

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それにあの子とは? こいつは一体誰のことを言っているんだ。 「君って時が歪んでるのかな? その構えを考えたのは、500年前ぐらいの人物だよ…」 時が…歪んでる…? やはりこいつの言っていることは理解できない。 500年前? まさかあいつらか? 「戯れ言をほざくな影雅… 死ぬ前の戯れなどいらない…」 「あっはは… そっかそっか 君が死ぬ前に少し遊んであげようと思ったのになぁ…」 「…! やはりお前も嫌いだ! 月光の奴らも全員!」 私は前に倒れこみ、完全に倒れる寸前で全ての力を戻した。 そして素早く影雅の懐にはいり、小太刀を上に振り上げた。 力も速さも、今は影雅よりか私の方が上…。 避けられるはずがない。 しかもこいつは…。 ズバッ!! 私が振った小太刀は、そのまま影雅の体を通り抜けた。 確かに切った感触がある。 「は…ははは… やった…!やりました祢々渕様! 私は影雅を…!!」 だがその時だった…。 ズサッ……。 虚しく響いた私の声を消すかのように、自分のお腹に痛みがはしった。 痛みは鋭く、呼吸をするたびに激痛がはしる。 「なん…で…」 荒い息をしながらも、私は後ろを振り向いた。 そこには、今私が目の前で、自分の手で殺したはずの影雅がいた。 影雅の手には、私の腹に刺さっている刀の柄が握られている。 「誰しも怒りが面に出て、混乱すれば、目の前の状況を冷静に判断できなくなる 冷静な君なら、僕の幻術ぐらい見破れたんじゃない?」
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