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―――
美羅が消えた後、影雅はその場に膝をついた。
体は微かに震えていて、額には汗が見える。
敷かれている布団を手で強く握りしめ、何かを我慢しているように見える。
「はぁ…はぁ…」
呼吸は荒く、ちゃんと空気を吸い込めていなかった。
しまいには布団の上に倒れこみ、心臓を押さえながら蹲る。
そう、影雅は今、誰かに自分の心臓を握り締められているような、痛みと苦しみに襲われていた。
「っく…
また…か…!」
この激痛は、これが初めてではないらしい。
助けを呼びたくても、大きな声が全く出せない。
力を使いたくても、痛みに邪魔をされる。
影雅はしばらくその場に蹲っていたが、だんだんと痛みは安らいでいき、最終的にはきちんと空気を吸えるようになった。
「…まだだ…
まだ、僕は生きなきゃならない…」
そう言い、影雅は安心したかのように眠りについた。
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