25人が本棚に入れています
本棚に追加
―貴方は何で家にいるのよ―
―はっきり言って邪魔なのよね―
―早く出てってよ!―
(…思い出したくないのに…)
少女はベンチの上に足を起き蹲る。
体を小刻みに震わせ、時々泣いているような声が聞こえた。
(お父さん……
お母さん……)
―裏山の妖怪に食われてしまえばいいのに―
その時、ふと少女の頭の中にある言葉が浮かんだ。
昔から裏山には、危険な妖怪がうようよいると言われていた。
今のご時世、それはあり得ないとは思ったが、まぁそんなのいないと証明した人はいない。
(自殺も考えたけど…
だったら誰かのやくにたって死にたい…)
そう心で思うと、少女はベンチから立ち上がり、再び暗い道を歩きだした。
『――――?』
「……?」
その時、少女は動かしていた足を止めた。
自分の頭に左手を寄せ、瞬きを何度もする。
(今……
頭に声が……)
覚束ない声だった…。
他の音が交ざって、何を言っているかがさっぱり。
わかるのは男性の声と言うことと、何かを少女に聞いていた。
少女は少しの間立ち止まっていたが、それから何も聞こえなくなったため、再び足を動かした。
最初のコメントを投稿しよう!