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何も見えない闇の道を進んで行くと、これまで聞こえなかった自分の足音が聞こえるようになった。
だんだん薄らと見えてきたのは、焼け焦げた家や草木、土、人…。まるで戦場の跡かのような場所。
「美羅…
随分と遅かったのね」
私に話し掛けてきたのは、焼け焦げた人の上に足組みしながら座っている、彩香と言う奴だ。
最近漆黒に入ったばかりなのに、もう一人前面をしていて、だんだんと苛々してくる。
漆黒とは、闇の力を持つ選ばれし者の集まり。
彩香をいれて、今は6人になった。
闇があるなら光もある。
だが私はその光の族をしらない。太陽光、月光は、確かに名前に光は付いているが、力はたんなる太陽と月の力だ。
祢々渕様にお聞きしてもご存知なく、彩香には聞くだけ無駄。
「邪魔が入った
ただそれだけのこと…」
「それで負けて帰ってきたの?
ん?」
「……!
そろそろ黙れ彩香…!」
私が低い声で怒鳴れば、こいつは何でも泣けばいいと思っているから、直ぐに泣く。
そして…。
「祢々渕様ー!」
直ぐに祢々渕様の元へと逃げ出すのだ。
本当見ていて腹が立つ。
彩香が向かった先には、こちらに歩いてくる祢々渕様がいて、彩香が抱き付くと、少し困ったような顔をする。
なんて無礼な奴なんだ。
あんな奴は漆黒にいらないのでは?
「……美羅よ…
こやつはまだ世をしらぬ
あまり怒鳴り散らすでない…」
「……すいません…」
祢々渕様は彩香を宥めた後、彩香をその場に残し、私の方に歩いてくる。
凛とした細い眼差しに見つめられると、まるで時が止まったかの様に体が動かなくなる。
「霄壌は相も変わらず遠いの…
それは美しい羅漢と彩られたと勘違いをした香りの力の差と同じ…」
祢々渕様はそう言うと、私の耳元に顔を近付けてきた。
少々顔を赤くする私を見て、面白そうに笑う祢々渕様は、私にしか聞こえない声で囁いた。
「闇に彩られし香りはいらぬ…」
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