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はっきり言って、私はとても驚いた。
祢々渕様は敵を殺せとは命じた事があったが、仲間を殺せとは一度も命じた事がなかった。
なのに今回の指示は彩香を殺せ…。
そんなにも彩香が気に入らなかったのか。
「ね…祢々渕様…!」
「美羅…
心はいらぬ
全てはこの世の破壊のためと思うておればよい」
「………」
そう言い残し、祢々渕様は姿を消した。
彩香と私…。
ここには今私達2人しかいない。ならば今…。
「ねぇ美羅
祢々渕様は何て言ってたの?」
彩香は私の直ぐとなりに来て、腰を下ろした。
力でいえば、彩香より遥かに私が上だろう…。
今すぐにでもこいつを殺せる…。だが…。
「内密にせよと言われた
だから言えない」
そう言って、私は彩香の側を離れ、先程の闇の渦に入っていった。はじめは聞こえていた足音もだんだんと消え、そして消えてしばらく経つと、クシャクシャと葉を踏む音が自分の足元から聞こえてくる。
闇から出ると、そこは神々の泉。また戻ってきてしまった。
私は、泉の近くにある一本の大樹に背を預け座った。
(……殺せなかった…)
私は、一応彩香を仲間だと思っている。
まだ入ったばかりで、生まれてからずっと今の今まで世界を知らなかった。
だから礼儀を知らない。
そう考えていて、ならもう少し経てば、礼儀も知り、力もつくのではないかと思った。
だがそこで1つ疑問がある。
祢々渕様は何故彩香をいらないと考えているのか。
名前がいけないのだろうか…。
ならば彩香に名前を無理にでも変えさせる。
正直に言えば、私は彩香を殺すのが嫌だ…。
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