其の参 神妙なる眼界物語

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みなみは輝く瞳を、ぱちぱちと何度も瞬きをさせ、三日月に詰め寄った。 そんなみなみに、三日月は少し引きつった顔をして、すこし後ろに下がった。 「あ…あれはね 十六夜が着ていなきゃ、他の人は着れないってゆう掟があるんだよ! だから十六夜が着なきゃ、僕も着れないってこと! おわかり?」 「じゃあ十六夜さんが着れば、三日月さん着てくれますか?」 納得したかのように、手をポンッと叩くと、とてもいい笑顔でみなみは三日月に再び詰め寄った。 「服が見たいんだし、別に着なくても… 十六夜が着たら僕は別に着なくてもいいとおもうし… 大体、十六夜が着るわけ…」 「別にいいぞ?」 冷や汗を流しながら、三日月が必死にみなみに説明していると、いきなり真横からよく知る人物の声が……。 「い…十六夜! なんでいんの!?」 「…だからいちゃ悪いのか…」 三日月が驚きながら十六夜と少し距離をとると、十六夜は階段を降りて、賽銭箱に腰をかけた。 みなみは三日月ではなく、次は十六夜に詰め寄る。 「着てくださるんですか?」 「あぁ… まぁ普段からあの衣服を着ていなければいけないのだが、月光の者共は誰一人として着んがな… それから三日月 私が着なくてもあの衣服は自由に着れるぞ」 「本当十六夜いつからいたのさ…」 三日月は盛大なため息をはいて、身を起こし、階段を降りた。 そして何故かそのまんま何処かへ行こうとする三日月。 それは家の方ではなく、下に行く階段の方……。 「…何処へ行く三日月…」 「僕あんな服着るのやだ」 子供みたいに断り、頬を膨らます三日月を見て、十六夜はため息をつく。 「みなみがこちらに来たのだから、私達は正しくやり直さなければならない 前の様にだらだらとしていては、相手に隙をみつけられる 気を引き締めるためだ…」 十六夜は小さく笑い、三日月を説得する。 すると、その甲斐あってか、三日月は階段の方ではなく、こちらに向かって来てくれた。 「じゃあ条件 下に足が隠れるような物はくからね」 そう十六夜に言うと、三日月は先に家の方へと行ってしまった。 みなみと十六夜がしばらく立ち止まっていると、みなみが口を開いた。 「足が隠れる…って… なんですか?」 「あいつの衣服は、昔の月光に所属していた月花って人の衣服なんだ その衣服が結構足を露出していてな それが三日月は嫌なんだよ」
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