蜘蛛の糸

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芸能活動は思った以上に神経を使う仕事だった。 メンバーのまとめ役……といえば聞こえは良いが、俺はただの体(てい)の良い便利屋だった。 芸能活動というものを知らずに芸能界に入り、 自覚のない行動をする新人の後始末をする為に、スポンサーに頭を下げにいった回数は数知れない。 彼らに悪気は無いのは分かっている。 だが、スポンサーに当てこすりのように何かを言われる日々が続き、俺の精神も相当参っていたのも正直なところだ。 だから、今は、今だけは、全てを忘れ、快楽の中に溺れていたいんだ。 適当に目についたコーヒースタンドに入り、ブラックのコーヒーを頼む。 苦すぎる位のコーヒーが俺に適度な刺激を与え、昨日までの昂った感情を鎮静化させていく。 さて、今日はどうやって夜まで時間を潰そうか。 夜になれば、俺の居場所は群がるお姫様たちが埋めてくれるからな。 ……と、折角落ち着いてきたのに、今日の夜のことを考えていたら意味が無いな。 俺は苦笑を零し、もう一度コーヒーに口を付ける。
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