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瞳に映るのは色に染まった路地。
どこを視界にいれても
――赤、紅、あか。
血の色に染まる視界。
その中にある塊。
雲が空を覆っていて。
夜でもないのに、路地は暗闇に包まれているようだ。
未だ乾いていない血で汚れたコンクリートに、手を触れる。
そして少年は、首元に下げている十字架に唇を当てた。
「―――罪深き魂に
地獄の苦しみを」
高くもなく低くもない声音で呟き、少年は闇に姿を消した。
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