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職員室の中へ入ると、冷たい冷気が肌に吹きつけた。
その冷気が、汗をかいた私の体には丁度良くて、気持ちが良かった。(…生き返るー)
「えーと、先生の席は…」
きょろきょろと職員室内の席を見渡し、私は佐伯先生の席を探した。
「あ、そこか」
一番端っこの、窓際の席に先生がいるのを確かめ、私は前進する。
途中、席を立ち上がる先生方に挨拶しながら、そうして、先生の席へたどり着いた。
先生は私が来ていることに気づいていないのか、背を向けたまま、もくもくと机にむかって作業をしていた。
おそらく今日やったばかりの小テストの答案でも採点しているのであろう、そう思いながら、先生の背中を見つめていると…
「覗き見禁止」
と、背を向けたままの状態の先生に不意をつかれた。
「う…。覗き見なんてしていませんよ!」
私は焦りつつ、すぐに否定した。
「でも、背後にいると、覗き見してるみたいに見えるぞ?」
クスッと意地悪そうに笑う先生の表情を、私は見逃したような気がした。(…なんか、悔しい)
「……違います。ノート、ここに置いておきますね」
そう言って、私は先生の机の空いているスペースにノートを置いた。
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