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「うわぁぁぁ!!ご、ごめんなさい!!」
ぱっと慌てて、手を離し謝る先生。
私は、さっと先生から離れ地面に腰をおろした。
急にカーッと体が熱くなり、私は目を伏せた。
きっと、顔が赤い。
そんな私を不思議そうに見ていた先生は、シャツの胸ポケットに差していた銀縁眼鏡をかけ、じっと私を見つめると、「あ」と声をあげた。
「君は、西高の生徒…。たしか2年生の…」
「国枝です。2年7組の国枝 たつき」
「そう、国枝さん」
一瞬だけど、私は先生が笑った顔を見逃した。
学校ではあまり見せない、ふんわりと笑う先生の表情を…。
「…それは?」
それ、と指差された先に目がいく。
「…あ」
倒れた拍子に地面に落ちたトートバックの中から、バイト先で着る制服がはみ出ていた。
(…マズい)
「いえ、これはそのー…。あ、コスプレです!イベントのコスプレ!」
とっさに思いついた苦しい嘘をつき、この場をなんとかやりすごそうと、私は必死に制服をトートバックにおしこめた。
「ふーん…。あ、なんか落ちてるよ?」
先生は何かを拾い上げ、それを確かめると、私に見せた。
「あ…それは」
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