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先生が手に持っているものは、バイト先の認証カードだった。
「校則違反」
「う…」
(終わった…。私停学になるんだ…)
ズーンッと重いものがのしかかったかのように、私は地面に手をついた。
(どうしよう…。親に怒られる。ていうか、あの古本屋から出られなくなる…)
「まー、ここは学校じゃないし、いいか」
ほら、と何かが頭にあたる。
「あの…これ」
それは、私の認証カードだった。
「俺も高校の頃は、校則とか縛られること嫌いだったしな」
と、先生は立ち上がり、屈伸する。
「秘密にしといてやるよ」
にんまりと笑う先生に、私はドキッとする。
(ドキッて…何これ)
私は、いつまでも広い背中を見つめていた。
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