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「ふー…」
(これは、なんなんだろ…。
先生を見ると動悸がするのはなぜ?)
『国枝』
「!?」
急に声をかけられ、私はビックリして机から体を起きあがらせる。
『こっちだ』と声のする方を見ると…
「悪いが、職員室までこれを運んできてくれないか?」
教卓に積み上げられたノートを、ポンポンとたたく佐伯先生がいた。
私は、カーッと一気に頬の熱が上がるのを感じながら「は、はい!」とぎこちない返事を返す。
先生は、はにかみに近いなんともいえない表情を見せ
「じゃあ、よろしく」
と、先に教室を出た。
あの日のことを一言も口にもださず態度にも示さない。
教師と生徒の普通の対応をする先生に、なんだか…大人の余裕を見せつけられているような気がした。
(なんか、ちょっと悔しいかも…)
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