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「……おほん。でね、あたし考えたんだけど、この問題を解決するには環の性格を直すんじゃなくて環を取り囲む環境を修正したほうが手っ取り早いと思うの。ていうかそれしかない。それはあんた自身よく分かってんでしょ?」
「う、うん」
情けない限りだが、とにかく私は流されやすい。下手に出来るなんて言ったらあとでどんな説教を言われるか。ここは朋美に従うのが賢明だ。
ここまで完璧に理解したけれど、疑問はいまだに残る。というか山積み。
「でも、それで何で解決策が彼氏?」
「もうー環はせっかちなんだから」
チッチッチ、と朋美が人指し指をわざとらしく顔の前で振る。さすがの私もこれには苛立ちを覚えた。でも自分のためにしてくれてることなんだから、これくらいは我慢しなくちゃ。
私はグッと不満を飲み込む。朋美の得意げな顔がここまで憎たらしいのは初めてだ。
「つまりはこうよ。女子が気悪くするのってそのほとんどが男女関係のネタでしょ? 環に男が言い寄ってくるとか、環がそれを断ったりとか、女としての劣等感を相手に与えるような話ね。だからあんたが彼氏をさっさと作って男にそういう質問をさせなきゃいいわけよ。さすがに男出来たら向こうも簡単には手出せないはずよ。女子にしたって、あんたが彼氏を言い訳に断れば嫌味にならないし。まぁ欲を言えばその彼氏っていうのが相手を戦意喪失させるぐらいイケメンだと最高なんだけどねぇー」
そう言って朋美は私をニヤニヤ見る。なるほど。それだけで朋美の言いたいことはよく分かった。
確かに筋の通った話だし納得できる。
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