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ただ誤解を避けてるために言っておくと、その気持ち自体は別に嫌だとは思わない。好意を向けられることは時に戸惑うけど、同時に嬉しくもある。
でも、それは私の望む形であればの話であって、一方的で押し付けがましい好意なんてもはやただの嫌がらせだ。気持ち悪くてすぐにでもここから逃げ出したい。
しかし、今日の飲み会において私の休息はないといわんばかりに、会話が途切れると今度は隣に座っている男子が話しかけてきた。
「環ちゃんってさあ~」
まるで彼氏みたいに媚びた声で私は呼び、吸っているタバコを灰皿に押し付ける。
横を向くと彼の口からタバコの匂いがした。鼻にツンとくる匂いに私は思わず顔をしかめるが、失礼があってはいけないと咳は辛うじて堪える。
「はい?」
「彼氏っているの?」
唐突な質問だった。でも別に驚きはしない。いつものことだ。
私は愛想を良くしようと自然な感じを装ってやりすぎない程度に頬を緩める。
「いませんよ」
「マジ!?」
私の言葉に他の男子も一斉沸き立つ。さながらお祭り騒ぎだった。別にだからこの中の誰かと付き合うというわけでもないのに、何でここまで盛り上がれるんだろう。不思議で仕方なかった。
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