12

24/34
5652人が本棚に入れています
本棚に追加
/603ページ
「俺はね…仕事も失って…女房も娘も…家を出てってしまって、 何にも残っていないんだよ。」 泣き落とし? でも、今は下手に何かを言って興奮させても仕方ないので、 黙って小牧課長の顔を睨みつけるのみ。 だって、動きを観察してなきゃ 力では勝てないんだもん。 咄嗟の時は、社内講習で習った護身術… 上手に出来るかな? そんな事を考えながら黙って聞く。 「 あんたはさ…被害に遭わなかったんだから… なんで正義感出して…パワハラの相談に行っちゃうかな?」 一歩…また間合いを詰められるけど、 もう後ろには逃げ場が無い。 負けない…と言う気合だけで必死になって小牧課長を睨みつけると、 被っていた帽子を投げつけられ、 「何だよ。その目は!」と怒鳴られる。 怒鳴られた経験は無く、 あまりの大きな声に首をすくめて 小さく悲鳴を上げる。
/603ページ

最初のコメントを投稿しよう!