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「田所さんに…336の飲み物が足りなくなったと伺い、 保養所のスタッフに補充を頼もうと思いましたが、 時間も時間でしたし、自室の余った飲み物をお持ちして向かいました。」 真っ直ぐに…前を向いて発言すると、 「 僕は…332と言いました。」 田所さんの声…上ずった声。 必死なんだろうな。 ポケットから取り出したハンカチで、額の汗を拭っている。 「 僕が部屋の振り分け表を作ったので、 角部屋の336には誰もいないと思い、不審に思いながら 湯沢と同行しました。」 畳みかけるような主任の一言に 「だから…僕は336なんて言ってない!」 田所さんが叫び声を上げる。 「田所君…今は森下くんの意見を伺ってる。 キミの意見は後で伺うので話しの腰を折らないように…」 部長に窘められて田所さんが 小さな『はい』という返事を返す。
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