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「中を見渡すと、やはり誰も使用した痕跡がなく 冷蔵庫には飲み物の入っていましたので、 湯沢の聞き間違いだと思い、退室しようと思ったら、 どなたかが入室したので、咄嗟に身を隠しました。」 ずっと、穏やかな話をしているような主任の声に 隣で聞き惚れながら、 あの日の事を振り返っていると 「 なぜ…身を隠したんだね?」 部長の眼光が…鋭くなる。 確かに、ここで、身を隠さないで出ていけば、 目撃することも無かったから。 当然の意見だと思う。 「 社員旅行で逢瀬を…と言う現場… 一度…目撃したかったのかもしれません。」 主任の表情から感情は感じる事が出来ず、 まっすぐ睨みつけるように小牧課長を見つめている視線に 鳥肌が立つ。
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