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第三十譚 乖離の空
私たちの目はもう合わない。
立つ位置も、目が向かう先も違う。
貴方はそれをどう思っているのか。
私は知りたいと背中越しに思った。
背中を向けていることは乖離なのだろうか。
同じ向きを見ていても心が通っていなければ乖離だろうか。
貴方がどう思っているかは知らない。
私達が座る場所はあまりにも高くて
繋がっていた過去に向かって飛び降りることはできない。
振り返れば見えるのは貴方の後ろ髪だけで
その顔を見ることはできないだろう。
それを辛いとは思わない。
悲しいとは思わない。
前を向く必要性を私は知っている。
今日も空は、広がっている。
きっとそれは、君もそう。
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