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「みんな三年間ありがとう」
式までの間卒業生たちは自由に動いていいことになった。
クラス関係なく、いろんな教室で集まって言葉を交わすみんな。
私もクラスのみんなやおなじ部活の子と輪になって語り合った。
「今日でお別れだね」
「やだ。そんなこと言わないでよ」
「そうだよ、また会おうと思えばいつでも会えるじゃん」
「だって……、みんな高校ばらばらになっちゃうし、いまよりはずっと会えないよ……」
「ちょっと、まだ卒業式の朝でしょ、泣くのははやすぎるって」
エリが泣き出して、みんながかわいらしさに笑った。
けれどそうしながらも、エリの言葉に少し感化されたのか、どこか寂しい空気が私たちを包んでいた。
サイン帳をまわしてメッセージを書きあう子達。
卒業記念に親にかってもらった携帯のアドレスを片っ端から聞いて回る子達。
そのだれもが笑っていて、そしてどこか不安げで、それでいて期待に満ちた複雑な表情を浮かべている。
私はそっと斜め前のほうで語らう男子たちの集団を見た。
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