後編

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ほんとうは、ずっと見てました。 バスケットのときも、 教室でも、 いつも、あなたの笑顔を見てました。 もう、ずっと前からだよ。 それは、きっと、席替えより前で。 ゆっちゃんが大好きな井上くんだから、ずっと見ないふりをしてきた気持ち。 からかわれて恥ずかしかったのも、声をかけてドキドキしたのも、たぶん、好き、と憧れ、の気持ちが私のなかにあったからかもしれない。 たぶん、ね。 私がへたれなだけかな? まあいいか、細かいことは。 5月の風が私たちの髪の毛を揺らして、井上くんの髪の毛が私の耳を触る。 それがくすぐったくて、私はふふっと笑った。 END
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