5118人が本棚に入れています
本棚に追加
信号が青に変わり、尊くんが歩き出す。
浩太もこちら側に向かって歩いてくる。
…あたし、動けない。
逃げたい。
けど…足が震えて地面にくっついてしまったかのように、全く動けなかった。
尊くんはこちらを振り返り、
「みゆちゃん?」
と、不思議そうな顔をした。
「……あ」
あたしは言葉さえ喋れない。
「えっ?何?どーしたの?」
尊くんは立ち止まり、こちら側に戻って来ようと歩きだした。
浩太は尊くんの隣をスッと通り、あたしの目の前に立つと
「お疲れ!」
笑顔でそう言った。
「……っつ」
顔は笑っていても、目は全く笑ってない。
あたしは怖くて何も言えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!