少女の悲しみ

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「おかえり菜実ー。」 「ただいま…」 峰堂が待っていた。 「こんな時間まで何していたんだい?」 「別に…何も」 「心配したよ」 「ごめんなさい…」 「分かったらよろしい。夕食は出来ているから、手を洗ってきなさい。」 「はい…」 ジャァー 菜実はボーッと手を洗う。「何して…?」 「えっ!?」 「お前何してんだっ」 菜実の手から血が溢れだしていた。 「いっ…はぁはぁはぁ」 菜実が自分で引っ掻いたのだ。 「ちょっと待ってろ」 伸は走って鎌田の所に行った。 「おい理事長っ。菜実がっ…」 「伸くんは救急セットを持ってきて」 「あぁ」 「はぁはぁ…何やってんだろ…?劉…堡」 「この香り、菜実の血だ」時哉は劉堡を呼びに行こうとしたが、その前に劉堡は出てきた。 「時哉、君は皆を落ち着かせておいてくれ。ざわつき始めた。少し様子を見てくるよ」 「分かった」 「菜実っ大丈夫かい?」 「理事長?」 「直ぐに手当てをするからね」 鎌田は菜実の手の傷を手当てした。 「ごめん…なさい…」 菜実の意識は途切れた。 「菜実っ」 「大丈夫だよ伸くん、すこし出血が多くて貧血を起こしただけだよ。」 「くっ…何でこんな…」 「伸くん、菜実を部屋に運びたい。手伝ってくれる?」 「あぁ」
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