少女の悲しみ

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「おはよう菜実。」 「おはようございます。理事長」 「ふっ、さぁーて僕の作ったスペシャル朝食を食べなさい。」 ガタ 菜実は椅子を引いて座った。 「いただきます」 菜実と伸は鎌田特製の朝食を食べた。 「うっ!?」 「どう?」 「おいしい…」 「マズイ」 菜実はおいしいと、伸はマズイと言った。 「やっぱり、菜実は分かっているね。それなのに、伸くん君は酷いね」 「はぁ?どういう意味だよ。自分で味見してみろ」 「おいしいに決まっ…」 鎌田も一口食べた。 「マズイ…」 「やっぱりな」 「菜実、無理しなくていいんだよ。マズイならマズイって言っていいんだよ」 「なんで?美味しいよ」 菜実は次から次へ口に入れていく。 「そんな変なもん食ってないで、さっさと行くぞ」 「え…分かった。ごちそうさま」 菜実は礼儀よく挨拶をすると、立ち上がり窓の近くに立った。 「何しているんだい?」 「いってきます」 窓の鍵を外して窓を開けるなり、菜実は飛び降りた。「危ないでしょう」 「うるさいぞ。理事長」 伸も菜実に続いて飛び降りた。 「はぁ…いったい誰に似たんだか」 「待てよ菜実」 「ん?」 「そっち学校じゃねーぜ。反対」 「えっ!?あぁ…知って…るよ\\\\」 「本当危なっかしいやつだな」 伸は菜実の手を握り走った。 「ちょっ…」 「遅刻するだろ?行くぞ」菜実は黙って走った。 校舎近くに着くと伸から手を離した。 「あっ…」 「なんとか間に合ったな!」 「うん」 “私みたいな訳の分からない人間が伸に触れちゃダメなんだ。”
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