少女の悲しみ

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「しーんー」 「ん?」 「どかーん」 菜実は伸に突っ込んでいった。 「危ないだろ!?てか、居残りは?」 「サボった。そんな事どうだっていいじゃんクラス替えまであと10分だよ」 「うそっ!?」 「ほんとぉー」 菜実と伸は門まで走った。「お前ら、帰れ。」 「普通科の皆さんは帰ってくださぁぁい」 キャーキャーキャー ガチャ 門の開く音がした。 「皆さんは帰ってください」 「今日は元気がいいね。菜実?」 後ろから不意に声をかけられた菜実は後ろに下がってしまった。 「劉堡さん!!」 「元気がいいのはいいが、気を付けてね。君は危なっかしいんだから」 「ありがとうございます。劉堡さん」 菜実は満面の笑みで微笑んだ。 「ふっ」 劉堡も薄く微笑み菜実の頭を撫でた。 と思ったら、伸がその手を叩いた。 「早く行ってもらえますか?九条先輩。仕事が長引くんで。」 「おいきさっ…」 香るが伸に文句を言おうとしたが、劉堡が止めた。 「悪かったね鎌田くん。今後は気を付けるよ」 「あっ…それと、コイツは俺が守るんで心配はいりませんよ。」 「くっ…」 「伸っ、喧嘩を吹っ掛けるな。ごめんなさい劉堡さん。」 「いや、いいんだよ。鎌田くん頼んだよ。」 劉堡達は去っていった。 「じゃあ、俺等も帰るか?」 「あぁ…」 「なんだよ、機嫌悪いのか?」 「これから見回りがあるから行こう。手分けしてさっさと終わらせよ」 菜実は伸の言葉を無視して話を進めた。 「おいっ…おいっ、なんで無視する?さっきの怒ってるのか?」 「怒ってないよっ。」 「怒ってるだろ」 「そうだよ…怒ってるよ」「なんで嘘つく」 「じゃあ何で劉堡に喧嘩を売ったの?劉堡が気に入らないのは分かるよ。だからって…」 「そんなにアイツが好きか?」 「そんなこと…」 「わざわざ“さん”なんて付けて、バカかお前。何で偽る好きだってこと」
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