少女の悲しみ

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「はあぁぁー」 銀龍をしっかり掴み、菜実は香に斬りかかっていく。が、香に刀を掴まれた。 「こんなのじゃ、僕は倒せないよ。」 そう言って香は、菜実の頬についた傷口を舐めた。 「ふーん。これが九条さまのお気に入りの女か。もう一口」 そう言って香は菜実の首元に噛みついた。 ジュル 「いやぁぁー」 銀龍の力で香は吹き飛ばされた。 菜実はもう一撃と刀を振り上げた、すると銀龍を誰かが後ろから掴んだ。 「時哉?」 「やめるんだ菜実」 「うっ…」 菜実は銀龍を降ろした。 「須翁さん?」 「進藤、君と言う奴はっ」すると、後ろから凄まじい殺気を感じた。 「九条さま!?」 「進藤、一体君は何をしたか解ってるのかい?」 「申し訳ありませんでした。ですが…」 パーン 劉堡は香の頬を思い切り叩いた。 「言い訳はいい。とにかく君は寮に戻れ。」 「はい」 「君もだよ。篠原」 「はい…」 二人揃って寮に戻った。 「さて、大丈夫かい菜実?」 劉堡が菜実に近づいた。 「いやっ…触らないで」 菜実の手の震えと動揺は凄かった。 「大丈夫、僕だよ?」 「いや…」 時哉に支えられていることに気づいた菜実は逃げた。「私は…私を…食べるの?劉堡も時哉も化け物なの?人の形をした獣なの?そんなの…いやっ…」 菜実は意識を手離した。 「時哉」 「なんだい劉堡?」 「菜実を頼めるか?」 「いいけど、いいの?」 「後で様子を見に行く。先ずは彼らの処分の方を片付けてくるよ。」 「分かった。」 劉堡は消えた。
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