少女の悲しみ

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「りゅ…うほ…」 【大丈夫かい菜実?】 【いやっ…触らないで】 【大丈夫、僕だよ?】 【私を…私を…食べるの?劉堡も時哉も化け物なの?人の形をした獣なの?そんなの…いやっ…】 「りゅ…うほ…あっ…」 「理事長僕は今日は帰ります。本当に申し訳ありませんでした。」 「うん。運んでくれてありがとう時哉くん。おやすみ」 「はい」 時哉は去ろうとした。 その時!! 「時哉、待って」 「ん?菜実?どうしたの?」 「ごめん、頭がおかしくなって記憶が曖昧になっちゃった。ちゃんと覚えてるよ」 「本当に?」 「大丈夫だよ。ねぇ…私、噛まれたんだよね?香先輩に」 「あっ…うん」 「そっか…別に大したことないのに取り乱したりしてごめんね。」 「大したことだ。君は…」「後で劉堡来るんでしょ?」 「そう言ってたけど」 「来なくていいって言っておいて。後、ごめんって」「分かった。」 菜実は起き上がって、立った。 「大丈夫?」 「大丈夫だよ」 そう言って一歩身を引いた。 「どこにいくんだい?」 理事長が菜実に尋ねた。 「今日は寮に帰ります。おやすみなさい理事長、時哉」 菜実は直ぐにその場を離れた。 「では僕も失礼します」 「そうだね」 時哉は一礼して部屋を出た。 「進藤、何故あんなことをした?」 「それは…」 「答えろ」 「九条様があの女を気に入ってらっしゃるから、興味が出たんです。それで…」「それで、菜実の血を吸ったと?」 「はい…」 バチーン 劉堡は香の頬を殴った。 「いっ…」 「篠原、君も何故止めなかった?」 「申し訳ありませんでした。」 「またこのようなことがあれば次は許さないよ」 「はい」 「君達は1週間謹慎だからね」 「はい…」 ガチャ 「おかえり時哉。菜実はどうだった?」 「うん…目を覚ました時は記憶がなかったよ。初めてあった時みたいに」 「…」 「でも、今は大丈夫だよ。進藤に噛まれたことなんて大したことないって。」 「後で様子を見に行ってみるよ」
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