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12時になった頃、空夜は理事長の所に用があると部屋を出ていった。
菜実も伸との約束に向かった。
「伸っごめん遅くなって」「いや…大丈夫だ。そんなことよりあの男は誰だ?何故お前がナイトクラスにいる?何故お前からヴァンパイアの気配がする?」
「あっ!?ヴァンパイア…」「まさか…お前…」
「そのまさかだよ。私は純血種である桐生空夜に噛まれてヴァンパイアになった」
「なんで…」
「何でだろうね?ねぇ伸、私を殺す?」
「はぁ?」
「だから、ヴァンパイアになった私を殺すって聞いてるの」
「殺すわけ…」
「ふーん」
菜実は伸に抱きついた。
「な…み?」
「いただきます…」
伸の耳元で囁くと菜実の牙は伸のすらっとした綺麗な首に深く突き刺さった。
「あっ…いっつ…」
ジュルジュルクチュ
菜実はいやらしい音を立てて伸の血を吸う。
「やっ…めろ…」
「ふふ…」
菜実は血を吸うのを止めようとしない。
伸の首についた血をなめまわす。
まるで血に飢えるヴァンパイアのように…
「ごちそうさま」
そう言って伸を地面に投げ捨てた。
「解った?私は血に飢える化物。また血を吸いに伸の所に行くよ。次は殺しちゃうかもだけど」
菜実は真っ暗な森の闇の中に消えていった。
「菜実…うわああぁー」
「ハァハァ…気持ち悪い…頭がガンガンする…」
菜実は吐き気を堪えて木にもたれ掛かった。
「急に沢山の血を吸うからだよ」
闇の中から声がする。
知ってる声が…
「こんばんは菜実」
「劉堡…」
「大丈夫かい?」
劉堡は菜実の頭を撫でる、そして抱き締めた。
「君がヴァンパイアになってしまうなんて…悲しいよ」
あまりにも儚い声だった。菜実はゆっくり劉堡の背に手を回そうとした。
【劉堡が死ぬよ?】
「離してください九条さま」
「九条さまは止めてくれないかな?」
「いえ、貴方は我が兄と同じ純血種のお方。」
「そうか…」
「では失礼します」
“ごめんね劉堡。でも私は劉堡に死んでもらいたくないの”
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