体の変化

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「!?菜実?」 驚いた様子で菜実に近づいてきた。 「何があった?」 「血に飢え始めたのよ」 美琴が冷たく言いはなった。 「菜実?」 「空夜…」 菜実は涙を溜めた目で空夜を見詰めた。 「ごめん、辛かったよな。」 「空夜」 空夜は菜実を抱き締めた。そして、自分の指を切った。 「お前が側に居てくれるように、俺もお前を守るから。だから、安心して」 空夜は微笑んで指を菜実の口に入れた。 「いやっ…」 「大丈夫、俺はお前を一人にはしないから。安心して、大丈夫」 すると、菜実は血を受け入れた。 そのまま、意識を手放した。 「ごめん菜実…」 そう呟いて、菜実を抱き抱えて部屋に戻った。 翌朝菜実は目を覚ました。「おはよう菜実。」 「ん?だぁれ?」 「寝惚けているのか?空夜だよ」 「くうや?」 「思い出したか?」 「くうや?わたしだぁれ?」 「は?まさか、何も分からないのか?」 菜実は首をかしげるだけだった。 「嘘だろ…」 空夜は菜実を抱き抱えてホールに降りていった。 「おい劉堡の奴はどこだっ?」 ホールにいる美琴、香、秀哉に尋ねた。 「知るわけないでしょ」 美琴は空夜が気に入らないのか冷たく言う。 「美琴、彼は仮にも純血だぞ」 「それがどうしたって言うのよ。劉堡様をバカにする人は許せないわ」 「黙れよ美琴。九条様なら須翁さんと理事長の所にいるよ」 「香…」 秀哉が驚いた様子で香を見つめる。 「そうか」 「勘違いしないで下さいね。僕は貴方を認めてなんかいませんから、その女なんてもっとね」 「あぁ、生憎俺も好き嫌いが激しくてね。だが、教えてくれたことには感謝している。ありがとう」 そう言い残して寮を出ていった。 「お前の負けだな香」 「うるさい。黙ってろ秀哉っ」
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