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起―承
そんな僕の様子を隣にいた親子が不思議そうに覗き込んでいた。
それが少し気に障る。僕はその席から端の席へ移動した。
これでやっと落ち着ける。
……と、思ったのに。
「なあなあおまえどっからきたんだ?おれはなぁ、*#%県@☆市からきたんだぁ。@☆市はなぁ、高校があってなぁおれはそこに通ってたんだ。で、そこの学校はなぁ………」
煩い(うるさい)やつだ。
その後もそいつは、自分の家族構成、小学校二年生のかわいい弟等々の話をし、そこで一旦言葉を切り自己紹介をした。
「言い忘れてたがおれは花麒 麟(かき りん)ってんだ。麟っていうのが下の名前な。おまえは?」
りんとか言うらしいそいつは目をきらきらとさせながらずずいっと近寄ってきた。《ピーーーがやがやがやがや》
その瞬間、少女ががばっと飛び起き、布団を持って寝台の隅に飛び退いた。
「あ…………あ……う」
がたがたと真っ青な顔で震えている少女のためにCDプレイヤーを停止させる。
「は…、はく…白麦!!」
涙目で名前を呼ばれた女はにっこりと笑い、
「お早くて御座います、姫様。」
と話しかけた。
「お早くなくていい!普通に起こしてっていってるのに白麦のバカ!」
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