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頬をぷうっと膨らませ、可愛らしい仕草で手をぶんぶんと振り回した少女はやがて疲れたのかさらさらの長い銀髪をいじり始めた。
そして耳を垂れた猫みたいな飾りがついたカチューシャをとり、今度は胸にあるリボンをいじっている。
「さあ、姫様。これにお着替え下さい。」
白麦が優雅に微笑み、少女の方に箪笥から取り出したドレスを向けた。
それは少女のお気に入りのフリルがとっても沢山ついたドレスだった。
「………………………」
寝台の奥でいじいじしていた少女はそうっとこちらを少し見た。
次の瞬間、少女は四つん這いになって驚く早さでこちらに―というかドレスに―突進してきた。
そして白麦からドレスを奪い取って寝台の奥に戻り、少しうきうきとしたように頬をほんのり染めながらいそいそと着替えた。
一見普通の―フリルがかなり沢山ついているので普通とはいえないかもしれないが―ドレスなのだが、実は着物風になっていて、長い銀髪を簪で留めると良く映える。姫を宥め、髪と靴下等々を整えて白麦は一息ついた。しかしまだまだこんなのは序盤である。
白麦は服をいじっている妹のような姫を眺め、小さく微笑った。
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