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たぶん酒に強くないのは遺伝だと思う。
親父ほどには弱くないけれど、しこたま返杯を浴びれば、箸を掴むことすらままならなくなる。
そもそも俺は、まだそんなにアルコールの耐性が出来ていないじゃくはいものだ。
……あれ、じゃくはいもの、ってどんな漢字だったっけ。
ここはお座敷。
30名ほどの人数がひしめく宴会場。
四つの島を作ったテーブル配置は、人の往来を考慮されない構成で、自分の席に戻ってくるまでに、何度か誰かの足か何かしらを踏んづけてきたと思う。
すでに誰が何を話してるのかわけのわからない騒音の中、ようやく戻ってきた最も上座の自席で、テーブルに片肘をつき、頭を抱えた。
今、何時だ……
幹事の森永先生主導の元、執り行われていた実習生の慰労会は、最早ただの宴会。
かつては聖職者と言われていた教師も、今や普通のサラリーマンと同じで、愚痴やストレスを吐き出すには絶好のこの機会をおおいに活用していらっしゃるようだ。
かく言う俺は、
宴会開始当初から駆け出して、校長のありがたいお話しを延々と聴いた。
教頭の教師としての在り方の説法も頂戴した。
山梨先生は、期待を裏切らない酒豪だった。
ぐらぐらと震撼する頭を掌で支え、そろそろ宴もたけなわであろう時刻を期待しつつ、テーブルの下で、覚束ない手にスマホを探らせた。
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