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「お前まさか、学校でいらんことしてないだろうね」
「……」
ごく、と喉の鳴る音に続けられるどこかで聴いたことのあるような台詞に、閉じた瞼がぴくりと痙攣を起こす。
母校での顔合わせの日。
準備室のカーテンはためく昼休みの出来事が、図星を突かれてまざまざと蘇った。
見つめ合う二人で作り出す雰囲気に互いの距離を詰めたくなってしまうのは、もうどうしようもないことだ。
まあさすがに、学校でああいうことは不謹慎すぎるか。
無言のままゆっくりと目を開けると、片眉を上げた親父が、今一度呆れた表情で俺を見下ろしていた。
どうやら俺の無言の回答に、肯定を見出したらしい。
「悟流。……仲良いのはいいことだけど、あきなの迷惑になるようなことはするなよ」
「……わかってるよ」
呆れる瞳から気まずく視線を外し、賑やかな映像を目まぐるしく映すテレビを無意味に見やった。
「なるだけ、外で会うのも控えた方がいいかもしれないな。……受け持ちの教師と実習生なんて、おかしな噂にでもなりかねないし」
「ん」
「どこで誰が見てるかわからないからね」
「たしかに、そうかもな」
「実習期間中は、気をつけるように」
「了解」
親というより、一教師としての先輩からの助言に目を配せ、しみじみ納得すると、
「学校っていえば……」
目線だけで天井を仰ぐ親父を上目遣いに見上げる。
「うん?」
「あきなのクラスに、たしか……」
ひらめく親父の顔に、……そういえば、と、あのとき俺を真っ直ぐに見つめていた円らな瞳を思い出した。
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