act 1

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「お前といると退屈」 そう言い捨てられて、私は男にそこに取り残された。 社会人になったばかりの春の夜の出来事。 「…っなんなの、もうっ」 私は下を向いたままぐっと手を握りしめる。 すこし長めの爪が皮膚に食い込んで小さく痛んだ。 それでも私はその手を開かなかった。 私はその日、半年付き合っていた彼氏に捨て台詞を吐き捨てられて、見事にふられたのだから。 悔しくないわけはなかった。
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