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『W-CO112起きろ』
機械的な声で嫌な目覚めをすると、有無を言わせない早さで、
悠は強制的に腕を引っ張られた。
きっと、迎えに来た車に連行されているのだろう。
「った・・・ちょっと!あたしの人権はどーなってんの。」
『・・・・・・・・・』
そろそろ護衛たちに構うのも飽きてきた悠は、溜め息をついてそっぽを向いた。
待っていたらしい黒い大きな車の前に立つと、中から、スーツを着た青年が静かに出てきた。
遠いから顔はよく見えない。
そして、護衛の代表みたいな人と挨拶や握手を交わすと、車の運転席に乗り、手袋をはめた。
『W-CO112、乗れ』
「はいはーい」
悠は軽く返事をすると、重苦しいドアの取っ手に手をかけ、車内に乗り込んだ。
そして、ドアを閉めた。
運転手に向かって、悠を連れてきた隊員たちが一斉に敬礼する。
運転手はそれを一瞬チラッと見ると、再び正面に向き直り、ハンドルを握った。
そして、アクセルを踏んだ。
ゆっくりと車が発進する。
しばらく敬礼する隊員を見ていた悠だったが、ある異変に気付いた。
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