あたしの世界

6/11
前へ
/11ページ
次へ
あたしはひとりぼっちだった。 誰かと喋ることなんて、両親と離れてから、一体何年振りだろうか。 一人言に満足して。いや、満足したように思いこんで、過ごしてきた。 いつしか、慣れてしまっていて、 寂しいなんて感情はとっくに忘れていた。 だから、 「え、なんで、あれ・・・」 悠は理解できなかった。 なんで彼が自分に反応するのか。 ―頭の中が真っ白になって訳が分からなくなる。 「あたしとは、話しちゃいけないんじゃないの・・・?」 信号が赤になって、彼はキュッと車を止めると、呆れたようにこっちを見た。 「あぁ?他の奴が何してるか知らねぇけどな。 お前とは話しちゃいけないってお前何様だぁ?! あほか!そんなん隊のビビリ野郎が勝手に決めたことだろーが! 俺には関係ねぇ。 俺は俺のルールに従ってんだ。」 運転手は一気にそこまでまくしたてると、ポケットからガムを取り出し、口の中にいれた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加