prologue

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《生きるとは?》  シンクは一度だけ目を閉じて息を吐く。吐息の漏れる音が響き、沈黙を促す。真剣な顔つきで応えた父に対して、  出来るだけ   出来るだけ 誠意ある答え方はどうすればいいのか? そればかりが頭を反芻(はんすう)していた。    時にして1分にも満たない時間、両親も話さずにただシンクを見守ってきたが、母フレイが耐えかねたように声を掛けようと口を開いた。 「シンク……。あのね「待って母上。」え?」  声を重ねる。  音が決裂する。 「父さん、ぼくは間違えるかもしれない。でも、その言葉は忘れないって誓うよ……、今は農作業で楽したいから使いたいけど、いつか父さんにとっての母さんのように守りたいと思える人に出会えるかもしれない。 だから、教えてください。 だから、術(すべ)を授けてください。 ぼくはぼくに出来ることを出来るだけ人様に迷惑がかからないようにすると誓うよ。」
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