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そんなことをしているうちに、学校内では図書館にお化けが出ると、密かに噂され始めた。
噂は噂を呼び、いつの間にやら尾ひれがつき、やがて図書館には六つの目玉を持った大きな体の人食いの化け物が住んでいることになっていた。
本当に信じる人こそそういなかったが、やがて図書館は薄気味悪がられ、滅多に人が寄り付かなくなってしまった。
こうなると、妖精としても不本意だった。
人が来なくてはイタズラができない。妖精は楽しみがなくなり、不満を感じるようになっていった。
そんな中、図書館に毎日訪れ本を読みふける一人の少女がいた。
しかし実を言うと、この少女もまた妖精の機嫌を損ねる理由の一つだった。
これまで再三に渡って妖精は少女に対しイタズラをしてきたが、当の少女は何も反応を示さないのだ。
カバーと中身が入れ替わっていても平然と読み続けるし、下巻がなければすぐ別の本へと手を伸ばす。
本を読んでいる最中に息を吹きかけても一切動じず、しまいには髪を引っ張ってみたりもしたが、彼女は顔の筋肉をピクリともさせずに本の文字を追うことをやめなかった。
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