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「ちぇっ、なんてつまらない奴なんだ。あれはきっと人間じゃないのかもしれない、いやそうに決まってる」
妖精は少女にイタズラをすることは諦め、早く別の人が来ないかと待ちわびていた。
それからしばらく経ったある日のこと、図書館に一人の少年がやって来た。
久しぶりの人間に、妖精は心躍る気持ちだった。
さっそくイタズラをしてやろうと考えた妖精は、そこでふと思いとどまった。
「今ここでイタズラをして驚かせたら、また人が来なくなってしまう。ここは少し様子を見ようじゃないか」
妖精は、本を手に取り少女とは少し離れた場所に座る少年を、まずは観察することにした。
するとこの少年、どうも本を読んではいるが集中していない様子だった。
というのも本に目を落としていたかと思えば、顔をあげて流し目でちらり。
また本に戻ったかと思うと、二〇秒も経たないうちにまたちらり。
一体何をそんなにちらちらと見やっているのかと、妖精は視線の先を追いかけてみた。
その先にいたのは、件の少女だった。
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