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「ひかる」
「なぁに、薮」
名を呼べば、光は振り向いた。
「俺がお前のこと好きって言ったらどうする?」
「え、なになにいきなり」
俺の問いに光は誤魔化すように笑う。そんな光が嫌で、俺は問い詰めるように言葉を続けた。
「付き合うって言ったら?」
すると光は視線を下にして少し考える仕草をして。
「…お前となら付き合えるかも」
「本当?」
「うん、」
光は至って真面目な顔をしていた。疑う俺を信じ込ませるかのように。
「…じゃあ、キスしてよ」
「え、」
「付き合うってそういうことなんだろ?なぁ、早く」
急かしながら光に顔を近付けると、光は大きな目を更に大きく見開いた。しかし、状況を受け入れたのかまたすぐ真面目な顔に戻って。
「…いいよ」そう呟いた瞬間に腰に手が回り、ぐっと引き寄せられた。
吐息までもがかかる距離だ。そう思った時には遅くて、唇が重なっていた。
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