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高木、俺ね、高木のこと好き
薮くんにそう伝えられたのが三日前。
しかし、好きと言われたからといって、何か変わったわけでもない。キスをしたこともないし、体を重ね合ったこともない。
確かに俺は昔から薮くんが好きだった。
けど、薮くんには光くんという特別な存在がいるわけで、それは本気なんかじゃないのかもしれない。ただのおふざけで、遊びだったかもしれない。
そう考えると、一瞬でも期待した自分が馬鹿みたいに思えてくる。
目の前でにこにこと笑う薮くんは一体なにを考えているのだろう。自分が言ったことなんか、もう忘れているだろうか。
「なあ、高木」
「…ん?」
「あの時の返事、まだもらってないんだけど」
ああ忘れてなかった。もしかして本気だから返事をくれなんか言うの。それともまたふざけてるの。薮くん、わかんないよ。
俺はわざとらしく考えるふりをして、うーんと唸った。
薮くんは神妙な表情で俺を見つめる。俺の口からでるであろう返事を待っているのだ。
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