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言葉に詰まる優に対し更に質問を続ける老人。優は何かを思い出そうとするのだが、ズキッとする頭に手をあてる。
「すみません。これ以上は思い出せないみたいで……」
申し訳ないといった様子で下を向く。周りにいた男の一人が少年の目を気にして老人の耳元で声を小さくし話す。
「外界の人間なんてさっさと追い出したほうが……」
その行動は優の視界にも入っていた。それに気づいた男は知らぬふりをしたが、優は首を傾げ、老人はため息をつく。
「見苦しいとこをお見せして申し訳ない。この島はの、大昔から島以外の人間の立ち入りを禁じて来たのじゃ。まあ、例外もあるがの……」
「いえ。例外って……この島は存在しているのに誰も入れないってことですか?」
老人の言葉に優は何がなんだか分からずにいる。
それもそうだ。気がつけば見知らぬ島に居て、しかも病室の上で急にそんな事を言われてもすんなり「そうだったんですね」と納得できるわけもない。
優は更に質問するのだがそれ以上を語る気配もなく、老人の細い目が開く。
「君がそれを知る必要はない。本当ならば外界の者なぞ追い出してしまいたいのだが、ここでそんな状態の君を海に放り出したら目覚めが悪い。それに君は特に島に影響を与えるようにはみえん。好きなだけいるといい」
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