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昨夜から降り始めた雨は豪雨となり、日本を灰色に染めた。
遥か北東の海域で突如大嵐にみまわれた海には、黒色の船が荒波の中で激しく揺れていた。
「急に嵐が起きるなんて……。何か嫌な予感がする」と船の個人室内で椅子に腰掛けていた少年が呟いた。
任務を終えてアメリカを出た「魔導管理機関」の船──イギリス支部へ向かう為に、魔導管理機関本部・日本を経由して帰還する予定で航海していたのだが、大嵐にあい予定は狂っていた。
少年はテーブルに置かれた携帯を手に取るとリズム良くボタンを押していく。画面上に出たデジタルの表示は英語で「キース・フレリック(口悪)」と出てその下に番号が表示される。電話ボタンを押しコール音が鳴り、数秒で相手が出る。
「オウ。ガキんちょ優じゃねえか。無事任務完了したみたいだな」
「はい。あの人に頼まれていた、例の人物の情報なんですが……」
「あん?どうしたガキんちょ」
ガキんちょ──「黒雛優(くろひなゆう)」は例の人物の情報をキースに話し始めた。話しによれば、その人物はオーストラリアでテラ(陸軍)に拘束されるものの、数日後航海の最中に立ち寄った島で魔族の襲撃にあい死亡したと。それを聞いたキースは電話の向こうで驚いていた。
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