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壁に顔をめり込ませて痙攣するジジイを一瞥し、盛大な溜め息を吐く
「ふぅ…余計な手間かけさせやがって…」
後は、このクソジジイをどうやって運ぶかだ。
(んー、面倒だなぁ…)
そう思いながら、懐から掌サイズの呼鈴を取り出して鳴らす
―チリン…
「フェン」
鈴の音と共に、幾万もの戦場を駆け抜けた相棒の名前を呼ぶサインみたいなモノだ
そして次の瞬間…
―ヒュッ…
「呼んだか、マスター」
銀の長髪を風に靡かせ、黒いチャイナドレスに豊かな身体を包んだ美女が現れる…
「ああ、このサボり常習犯を執務室に放り込んでおいてくれ」
「またか…了解」
そう言うとフェンの姿は一瞬で巨大な銀狼へ変わり、ジジイの服をくわえると、ズルズルと引き摺って行く
北欧神話に登場する主神オーディン殺しの狼、フェンリル…それがフェンの本当の名だ
フェンが見えなくなるのを見届けると、俺はジジイの私室の中央に鎮座する二台のパソコンの電源を入れる…
画面に電源が入ると、ユーザー確認画面が表示される
(パスワード式か、軽くクラックして強引に解除するか…)
懐から小型ノートパソコンを取り出し、ジジイのパソコンにハッキングを掛けて、パスワードを潜り抜ける…
(伊達に前世でフリーの傭兵やってたんじゃねぇんだよ)
起動が完了してホーム画面が表示されたのを確認すると俺はソフトを確認し、ニヤリと笑みを浮かべる
(アトリエかぐや、ビショップ、アルコット、key…あのダメ神が!!)
「さて、サボりには相応のオシオキを与えるべきだよなぁ?」
そう呟き、パソコンの中身をフォーマット…全て初期化する
要するに、ジジイのエロゲコレクションとニコ動のアカウントを消去した事になる
「これでよし、と」
フォーマットが完了したのを見届けた後、パソコンを閉じて部屋を出て外に向かう…
余談だが、その夜ゼウスの悲痛な叫び声が天界中に響き渡った事は言うまでも無いだろう
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