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私の地元・福岡。
voiceの公演がある横浜へは1泊2日の日程でいくことにした。
学生時代からの親友・幸代と旅行気分で日程を決める。
「でも珍しいね。こんな遠くまでアイドル追っかけるなんて。付き合い長いけど初めてじゃない???」彼女にうなずきながら注文したドリンクに口をつける。
もともと憧れを抱いた対象者に対して近付こうとしない傾向のある私。
「招待」でもないかぎり自分から
「voiceに会いに行こう」
とはならなかっただろう…。
「せっかくチケットが当たったし…いい機会かな?って…。」
「ふーん…。」
私の言葉になんだか嬉しそうに私の顔を見つめるさっちゃん。
「何???」
意味ありげなその態度に突っ込むとテーブルに肘をついて話し出す。
「しばらく引きずってたけどもう大丈夫なのかな~って。」
すぐに何の話をしているのかわかった。
私には1年前まで彼氏がいた。
彼とは何でも話せてお互いがお互いをよく理解していた。
彼に会えない日には話したいことがどんどん溢れ彼に会える日は自分の中に溜まったストレスや疲れが一気になくなるようだった。
他人に対してすぐに心を開けない…特に異性に対しては時間がとてつもなくかかる私にとって家族とさっちゃん以外でこんなに心を開ける相手はこの世界に彼しかいなかった…。
彼と過ごした6年。
その間に人生ではじめて結婚を真剣に考えた。
今まで一生独身宣言を友達の間でしてきた私には自分自身ですら驚く変化だった。
彼と別れて歩む人生なんて考えられない…そう思っていた。
例え相手に妻子があっても…。
私と彼の6年は同時に彼の離婚裁判期間だった。
6年待ち続け彼は法律によって離婚できないと言い渡された。
突然訪れた別れ。
奥さんからの罵声と彼との別れ。
裁判で私が得たものはそれくらい。
私自身は空っぽになった。
そんな惨めな私を支えてくれたのがさっちゃんや周りの人達だった。
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