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刀を差し直し、道場を出ようとする背中…
小さく華奢な彼女は、体に似合わぬ長刀を持っている
幅が細く、限界まで軽減しているだろうその刀…
斎(…それでも軽いものではあるまい)
本来ならば、体が左に傾いてもよさそうだが、綺麗な姿勢はそのままに筋肉も左右大差ないようだ
斎(どう鍛えればああなるんだ?)
その背を追うように見つめていると、ネチッこいアイツが隣に居た
消しきれない気配をギリギリまで抑え、好きでもない俺の隣を歩くのは、子供じみた敵対心からだろう
沖「……」
斎(…俺の真意が気になるのか)
無言で右を歩く沖田
黙っていれば、見目も良く大人びた印象…
斎(初めて会った時は、どちらかと言うと副長と同じ部類だと思っていたのだが…)
―――
沖『君が斎藤一君?…ふ~ん?』
掴み所のない返し、見透かしたような余裕の微笑…
背が高く、日焼けした健康体のわりに細身の奴は、腕も良さそうだ
沖『面倒だよね~…歓迎会が島原なんてさ。俺の好みも居ないし、帰ろーかな』
不能じゃないよ?健全なんだけど、好みに煩いだけ♪
なんて笑う奴は、選ぶ側に居たいらしく…
沖『ところで君、間者…じゃないよね?
解せなぃんだよね。君みたいな出来る人間がうちに来るなんてさ?(黒)』
かと思えば、しっかり核心を突いてくる
酒を飲む時も、女と共にする時も…人を斬る時でさえ、目の奥が冷めている
常に、事の裏を嘲る目に思えて、正直俺はコイツが苦手だった
斎(まぁ、今では昔程嫌いではないがな…)
隣を歩くコイツは、まるで子供。余裕ぶったただの嫉妬心
斎(…でも、まだ掴み所はないな)
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